規制産業の最たるものが、マスコミである。テレビ局は事業免許に守られ、新聞社は再販制度の特殊指定や記者クラブ制度に守られ、外資の参入もない。もっとも英語とは縁がない業界だ。マスコミの社員に、上智など英語と緑が深いミッション系の大学出身者が少なく、逆に早稲田などドメスティック系の大学出身者が多いのは、偶然ではない。私もいた新聞社では、9割超の社員にとって、外国語はまったく必要ない。社員は、海外支局は「ご褒美」「箔づけ」「懐柔のツール」のいずれかだと思っている。
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海外支局には、経済部や社会部といった部署の縄張り(定員枠)があり、出世コースにのっている人が、数年行って、骨を休めて帰ってくる、というのが基本だ。「懐柔のツール」は説明が必要だろう。たとえば、2003年秋から、北海道県警の裏金報道を指摘し、スクープを飛ばした北海道新聞の高田昌幸記者は、2006年3月からロンドン支局に異動した。警察側としては「やれやれ、よかった」である。われわれ、ジャーナリストの間では、新聞社が、権力側との関係維持のために「ご栄転」という形で手の届かないところに行ってもらうという「懐柔」だった、と話している。