主要生命保険の収益力について分析してみよう。生命保険の収益力をつかむのは難しい。保険会計が生命保険の収益構造を反映した形になっていないうえ、生命保険業界が収益面のディスクロージャーに消極的なためだ。生命保険の損益計算書を見ると、事業会社のような「営業損益」「営業外損益」の区分がなく、「経常損益」に一本化されている。この経常損益が普通なら収益力を示すはずなのだが、実態はかなり違っている。第一生命の経常利益の推移を見ると、毎年数値が大きく振れていることがわかる。
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ポイントは有価証券関係の損益と、特別損益の動向だ。経常利益の少ない期には有価証券の売却損や評価損が大きく、経常利益の多い期には特別損失が大きくなる傾向があるようだ。例えば。経常利益が三二八億円だった一九九八年三月期には、株価下落の影響で有価証券評価損が六〇〇〇億円弱に達した。これに対応するため、第一生命は有価証券売却益の三五七三億円に加え、「保険業法第一二一条評価益」という株式評価益を三三〇〇億円計上している。どちらも有価証券含み益の活用という点ではほとんど同じなのだが、有価証券売却益は「経常損益の部」、第一二一条評価益は「特別損益の部」となる。同様に、四五七八億円と最も経常利益が大きかった二〇〇〇年三月期では、株価上昇を背景に有価証券売却益が七五六五億円に達した一方、不動産処分損や退職給付債務の処理を中心に二六三七億円もの特別損失を計上している。このように見ていくと、生命保険の経常利益は有価証券の売買や各種棚失処理の動向などにより決まるのであって、収益指標としては全く役に立たないことがわかる。